■肺水腫のため呼吸困難を呈していたチワワ

他院にて肺炎と診断され治療していたが改善せず、呼吸困難を主訴に来院。

レントゲン検査と超音波検査にて僧帽弁閉鎖不全(うっ血性心不全)による肺水腫と診断。
レントゲン検査では肺野が白く濁っているのが確認できます。これは肺に水が溜まっているためです。また、うっ血(循環不全)のため心臓の拡大が確認できます。

治療後のレントゲンです。
心臓の循環が改善し心臓が小さくなったのが確認できます。その結果、肺の水が抜けて肺がきれいになりました。

■鼻腔拡張術を行い呼吸状態が改善した症例

鼻腔狭窄により以前から鼻水が詰まりその度に吸引をしていたが日に日に悪化し夜寝るのも苦しくなったため来院したパグです。鼻が狭く呼吸がしづらいため両側鼻腔拡張術(両方の鼻の穴を広げる手術)を行いました。

術前
矢印が鼻腔です。ほとんど塞がっているのが確認できます。

術後
術前と比較して鼻腔が拡張してるのが確認できます。

鼻腔拡張により鼻水が詰まることもなくなり呼吸が改善し、夜もちゃんと眠れるようになりました。

■軟口蓋切除により呼吸状態が改善した症例

以前から咳が止まらず他院にて内科治療をしていたが改善せず、症状が悪化しチアノーゼ(酸素欠乏)を呈し呼吸困難になったため来院したフレンチブルです。

軟口蓋過長症と診断し過長した軟口蓋を切除し気道を拡張する手術を行いました。
矢印が過長した軟口蓋です。気管の入り口を塞いでいます。

過長した軟口蓋を切除しています。

切除した軟口蓋を縫合します。

切除した軟口蓋です。

術後の経過も良好で咳も無くなり呼吸も通常通りに改善しました。

■「僧帽弁閉鎖不全」について

心臓病で最も多い病気です。

心臓は4つの部屋に分かれ、肺→左心房→左心室→大動脈→全身→大静脈→右心房→右心室→肺の順に血液が流れ、左心房と左心室を分ける扉の役割をしている弁を僧帽弁といいます。僧帽弁閉鎖不全症とは、この弁が切れて、左心房から左心室へ流れた血液が再度、左心房へ逆流してしまうことをいいます。この逆流が悪化すると左心房に血液が溜まるため心拡大が生じ、心臓の上を走行する気管を圧迫するため、咳がでます。さらに逆流が悪化すると、左心房からさらに奥にある肺へ血液が逆流してしまい、その結果、肺に血液がたまります。この状態を「肺水腫」といいます。肺水腫になると肺に酸素が入ってこなくなるため、肺の中の水を外へ出そうと咳をします。さらに肺水腫が進むと呼吸困難になり命を落とす危険性があります。この様に、咳に気付いてからでは、すでに心不全が重度の事がありますので、そうなる前に定期的な検査を行い治療が必要となります。

赤色と青色以外に黄色や緑などモザイク状に映るのが血液の逆流箇所です。
弁の異常の有無、心臓の収縮力や、心臓の拡大、血液の流速を測定することで重症度の評価を行い、どのような治療が必要か判断します。

■好発犬種
キャバリア、マルチーズ、ヨークシャーテリア、チワワ、シーズー、トイプードル、ポメラニアン、ミニチュアダックスフンド、パピヨン

■循環器科・心臓病科について

症状:咳をする、息苦しそうにする、元気が無く寝ている、心拍動が大きい

検査:身体検査、聴診、レントゲン検査、超音波検査、心電図検査、血圧測定、血液検査
治療:薬の服用、手術、酸素吸入、温度・湿度管理

  • ACE阻害薬
  • β遮断薬
  • 利尿薬
  • 血管拡張薬
  • 強心薬
  • 血栓予防薬

症状や検査結果を基に、薬の種類や量を決めていきます。また、病状の進行によって種類、量が変わるので、定期的な検査をします。
心臓病の検査で特に大きな要となるのが、超音波検査でありますが、大変高い技術が求められる検査であります。この技術により診断が左右することも大いにあります。当院では幅広い知識と高い技術で検査を行い、診断しております。この検査では、動物に横になったり、仰向けになったりしてもらいますが、その姿勢が苦手な子、またその姿勢によって息苦しくなってしまう子に対しては、立ったままの姿勢での検査の行っております。